・専用CAD

  既存の汎用CAD以外に、自社固有の設計技法や製品固有の手法をシステム
化した専用CADを開発して 、汎用CADと連動して運用することにより、より効率
のよい設計ツールを技術者に提供することができます。SWA-AFはこのような専
用CADを開発するのに必要な対話、データ管理、表示の機能を内蔵しています
ので、短期間に効率よく開発することが可能です。  
  さらにSWA-AF下で専用CADを汎用CADやデータ変換エージェントと共存さ
せることにより、両者の相互運用(インターオペラビリティ)をスムースにして、ユー
ザーに余分の負担をかけさせないようにすることができます。
(以下のエージェント構成図ではシステムエージェントは省略されています。)


・マルチヘッドCAD

  SWA-AFは、並立するエージェント間で互いににメッセージを交換して挙動す
る仕組みをとっており、エージェントの追加や変更にたいしてきわめて柔軟な構
造になっています。
  SWA-AF下での通常のCADシステムは、一つの対話エージェント、一つの
CAD処理エージェント、そして幾つかのシステムエージェントなどで構成されます。
SWA-AFでは、この対話エージェントを複数個にして、それぞれ独自の操作・
表示ウインドウをあてがうことができます。ただそれらの操作・表示ウインドウを全
て同一ディスプレーに割り当てていては、実質的な同時オペレーションは不可能
で、対話エージェントを複数個にした意味はなくなります。そこでリモートディスプ
レーサーバー(たとえばX Window SystemのリモートXサーバー)やマルチ-
ヘッドディスプレーサーバーなどの仕組みを用いて、各対話エージェントの操作・
表示ウインドウを別々のディスプレーヘッドに対応させることにします。これをマル
チヘッドCADと呼んでいます。
 マルチヘッドCADでは、設計者毎に別々の対話エージェントを割り振ることに
よって、オペレーションにおける設計者の自主・自律性を最大限に許容すると同
時に、CAD処理エージェントは唯一つにして、CADデータの統合性・保全性を
確保しています。

   マルチヘッドCADでは、複数人の設計者が同時に一つのCADデータを共有
して、チーム内の他の設計者の作業結果をリアルタイムに確認しながら設計を進
めることができます。
  同一サイトのLAN上で、大型表示装置を接続したマルチヘッドCADのメイン
コンピュータ一台と、Xサーバーを搭載した低価格パーソナルコンピュータまた
はX端末を数台接続すれば、黒板型の共同設計やコンファランスを低コストで
実現することができます。
 また、遠隔地をネットワークで接続すれば、遠隔地型コンファランスも可能です。
SWA-AFマルチヘッドCADでのコンファランスは実データを対象にしていますの
で、その場で形状の特性を調べたり、形状を修正したりすることができます。
 SWA-AFマルチヘッドCADには、共同設計やコンファランスを効率よく進める
ためのユーザー機能が数多く用意されています。形状のマークアップ機能、ロッ
ク機能、プライベートスケッチ機能、設計者別色分け表示機能、設計者間会話
機能、共用メモボード機能、画面同期機能など多彩です。

マルチヘッドCADはSWA-AFのLinux版およびWindows版で稼働します。
一つのマルチヘッドCAD上で稼働する対話エージェントは最大7つまでです。
市販パーソナルコンピュータの環境で、ワイヤーフレームなら7ヘッド、
サーフェイスモデルなら4ヘッドまでなら、十分実用に供せられます。
(TOPページの「メッセージ駆動について」もご参照ください。)

・ネットセントリック協調設計環境

 マルチヘッドCADのリモート対話クライアントをエージェントとして他のノー
ドのアンサンブルに組み込み、ネットワーク上でリモート対話サーバーとクライア
ントを入れ子状態に接続すれば、互いにデータを参照しあったり、あるいは添削し
あったり、さらには、設計チームのリーダーがリアルタイムにチーム全体の状況を
把握して、チームメンバーに適切な指示を与えたりすることができるような新たな
CAD設計環境を構築することができます。これがSWA-AFによる「ネットセントリ
ック協調設計環境」です。

  マルチヘッドCADがクライアント/サーバー型で、データを共有した共同設
計に対応したものであるのに対して、ネットセントリック協調設計環境は、各ノード
のアンサンブルがネットワーク上で対等に位置して、メンバー間の独自性を維持する
と同時にタイムリーな協調を可能にし、設計者個人よりも設計チームそのものを支援
することを第一の目的とした、新たなCADスキームであるといえます。

(注)ネットセントリックCADの開発は情報処理振興事業協会(IPA)の「平成13年度
   未踏ソフトウェア創造事業」の一環として行われました。

・次世代CAD

 「次世代CAD」とはどのようなものであるか、多くの議論がありますが、SWA-AF
では、「次世代CAD」を次のように方向づけています。
  (1)形状処理を中心にした現行CADについては、その汎用部分について、
     徹底した機能強化と頑健さの追求をおこなう。擬人化した表現を用いる
     ならば、守備範囲が広く、足腰の強いエージェントであることを目指す
    (以下これを次期型CAD処理エージェントと呼ぶ)。
  (2)「次世代CAD」としての様々な要件、たとえば属性処理、知識処理、設
     計プロセスによる設計管理、製品別自動設計などは個々にSWA-AF下
     のエージェントとしてシステム化する(以下これを「次世代対応」エージェ
     ントと呼ぶ)。必要な形状処理は次期型CAD処理エージェントにメッセ
     ージを渡して処理してもらう。
  (3)これらに対話エージェントをくわえて、対話エージェント−次世代対応エ
     ージェント−次期型CAD処理エージェントのメッセージの流れで、「次
     世代」要件に対応する。同時に対話エージェント−次期型CAD処理エ
     ージェントによる従来型の処理も並存している。

 SWA-AFでは現行CADか次世代CADかではなく、両者が共存して相補う形
で成長してゆく姿を想定しています。また、「次世代対応」エージェントはもともと
製品毎、部門毎のような個別対応がさけられず、かつ、試行錯誤的な要素も強
いので、エージェントをいつでも取り替えられるSWA-AFのアーキテクチャは、こ
のようなアプリケーションの開発、運用に最適です。
  次期型CAD処理エージェントの開発では、市販のソリッドカーネルを利用する
ことも一案です。
 いくつかの日本企業の内製CADシステムでは、正投象・副投象の概念や三面
図による作図機能などの固有機能を有していますが、これらは外部に誇ってよい
優れたCADシステム技術であります。ソリッドモデルによる形状設計が一般化し
つつある今日においてこそ、なお一層その重要性、先見性に注目してもよいで
しょう。SWA-AFはこれらの機能にも対応可能です。

・エンジニアーズワークベンチ

  技術者をとりまくコンピュータ利用環境はますます複雑になっています。複数の
CADシステムを操作し、その間をぬって、データ変換ツールや、PDMなどのデ
ータ管理ツール、作業管理(ワークフローマネージメントなど)ツール、そしてワー
プロなどのOAツールまでも操らねばなりません。技術者のこのような負担を少し
でも軽減するために、必要なコンピュータツールをパッケージングして、ツール
間の連携など面倒なことは可能な限りコンピュータ側で処理するようにして技術
者に提供します。これがエンジニアーズワークベンチの発想です。
 異種複数CAD環境での相互運用性(インターオペラビリティ)の問題にしても、
単にデータ変換の問題としてだけでなく、操作面での相互運用性も重要になって
きます。このような分野にもエンジニアーズワークベンチの発想は有効です。

・制御システム

   SWA−AFの基本方式はメッセージ駆動方式で、複数のプロセスが同時並行
作動します。リアルタイムオペレーティングシステムほどタスクスイッチングやプラ
イオリティ制御を追求したシステムではありませんので、自ずと限界はありますが、
SWA−AFを用いて、メッセージ駆動の「制御システム」を構築することも可能で
す。たとえばCAMまわりで、加工箇所定義エージェント、加工工程設計エージェ
ントに加えて、直接加工機械を制御するエージェントを設けてマシンと接続すれ
ば、簡易DNCシステムになります。
(TOPページの「メッセージ駆動について」もご参照ください。)

・その他のアプリケーション

   SWA−AFはメッセージ駆動/非同期並行処理方式のフレームワークですので、
CADや技術系アプリケーションのプラットフォームとして以外に、一般のオンラ
イントランザクション処理型のアプリケーションの開発などにも幅広く活用すること
が可能です。
 さらにSWA-AFのもつCAD処理技術は、地図情報の処理などにも強力です。


 注)LinuxはLinus Torvalds氏の米国およびその他における登録商標または
    商標です。
    X Window SystemはM.I.T.で開発されたソフトウェアで、X Consortium Inc.
    の登録商標です。
    Windows、WindowsNTは米国マイクロソフト社の米国およびその他
    における登録商標または商標です。
    Pentiumは米国Intel社の登録商標です。


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